D(C)ブラックバイト訴訟第1回口頭弁論: 社長が法廷でマスコミに要請を始め、裁判長に二度制止される

温野菜第一回期日写真

 9月14日、Dブラックバイト訴訟の第一回口頭弁論が行われました。今回の裁判で行われたのは、被害者の学生Aさんの意見陳述と、被告である会社の社長の意見陳述です。もともと当事者の学生Aさんの意見陳述だけが予定されていたのですが、当日の法廷で、会社側の、しかも社長自らの意見陳述が行われることが伝えられたのです。

 Aさんは初めての法廷であるにもかかわらず、堂々とした陳述をしてくれました。それに対して、社長は非常識な陳述によって裁判官に二度制止され、法廷を混乱させました。

※この提訴の法的論点や意義については、下のブログをご覧ください。
「D」元店長らの殺人未遂罪・暴行罪・恐喝罪・脅迫罪で告訴状を提出し、「D」運営会社を提訴しました

(1)Aさん「同じようにブラックバイトで苦しむ学生にとって、重要な裁判」

 まず、Aさんの意見陳述の内容を一部紹介します。Aさんは、アルバイトを始めた経緯、アルバイトの内容や被害について話した後、裁判に向けた自分の思いを次のように語りました。
 「私は、アルバイトに拘束され続けた結果、単位を大量に落としてしまい、志望していた研究室に入ることができませんでした。」「留年するほどの経済的余裕がないので、留年が決まってしまったら退学するしかありません。」「それほどまでに、私の人生は、大きく狂わされたのです。」
 「授業や試験に出席もさせないで、シフトを入れて働かせ続けたり、暴力や脅しを使って、辞めたいと言っても辞めさせないことは、絶対におかしいことですし、許されないことだと思います。学生だからって、会社の都合だけで、働かせて良いわけありません。学生には将来の夢や人生があるのです。それを壊すようなブラックバイトはなくさないといけないと思います。」
「今回の裁判は、私と同じようにブラックバイトで苦しむ学生にとって、重要な裁判だと思っています。今後、このようなことが起きないように、裁判所には適切な判断をしていただきたいと思います。」

(2)社長の意見陳述が裁判官に二度制止される

 その後、社長による意見陳述が行われました。そこでは、社長がユニオンと被害学生Aさんを批判し、マスコミに語りかけて裁判官に二度も制止されるという「異常事態」が起きました。

 普通は労働事件で被告側の企業の社長が来ることはありませんし、こちらが求めていないないのに意見陳述はすることもありません。ましてや、第一回口頭弁論で意見陳述をすることなどほとんどありません。

 それにもかかわらず出席した社長は、まず「世間を騒がせたこと」、「(Aさんに)迷惑をかけたこと」について「謝罪」して深々とお辞儀をしました。ただしAさんの被害事実を認めたわけではありませんし、それらをはっきりと謝ったわけではありません。

 続けて、会社が団体交渉を拒んできたことに一切触れずに、ユニオンが和解を拒んでいるのだと、逆転した批判を始めました。続けて社長の主張は、Aさんに対する非難に移りました。Aさんに対する嫌がらせ、「脅し」でしょう。

 社長は次に、意見陳述の書面を両手で持ったまま、裁判官に背を向けて傍聴席の方を向き、「マスコミの皆様」と呼びかけました。被告が法廷で傍聴席に直接話しかけるという行為は、裁判官に対する意見陳述の枠を超えており、普通は行われません。傍聴席の誰もが困惑するなか、裁判長は「裁判に関係のない発言はやめてください」と社長を制止しました。

 次に動いたのは弁護士でした。「意見陳述書には「マスコミの皆さま」と書いてあるが、マスコミに語りかける内容ではなく、裁判と関係することも書いてあります」として執拗に食い下がり、裁判長に弁解を始めたのです。
 裁判長は怪訝そうな顔をしながらも、陳述を再開させました。すると社長はこれ幸いと、堂々とマスコミに語りかけ始めたのです。内容は「ブランドに対する被害が生じる」からと、「D」というブランド名を報道しないようにというものです。あたかも、今回の裁判と直接関係のないはずの、「D」のフランチャイズ本部である株式会社Cをかばおうとしたようでした。社長がひととおりこうした主張を展開したところで、裁判長は弁護士にごまかされたことに気づいたのか、「やっぱりやめてください」と社長に二度目の制止をかけました。まさに「異常事態」というべき出来事でした。

(3)第二回口頭弁論の予定

 次回の第二回口頭弁論は11月9日(水)13時15分から、千葉地裁です。夜には報告集会も予定していますので、ご希望の方はご参加ください。ブログでお知らせします。
また、ブラックバイトユニオンでは、ブラックバイトの労働相談や裁判の支援をしてくれるボランティアも募集していますので、ブラックバイト事件に興味や関心のある方はぜひご連絡ください。

※連絡先
〒155-0031 東京都世田谷区北沢4−17−15 ローゼンハイム下北沢201号
TEL:03-6804-7245
MAIL:info@blackarbeit-union.com
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Tag:活動報告 

9/14(水)、Dブラックバイト訴訟

 今年6月、ブラックバイトユニオンの組合員である大学生Eさんが、「D」の店舗で勤務していた際のブラックバイト被害の損害賠償などを求めて、運営会社であるA株式会社を千葉地裁に提訴しました。これは、全国初のブラックバイト訴訟になります。
 この第一回期日が、9月14日(水)に千葉地裁で行われます。この日は、被害を受けた原告の学生の意見陳述が行われます。
 ブラックバイトの訴訟に興味のある方、この事件の応援を希望される方は、ぜひ傍聴にご参加下さい。ユニオンでは、訴訟支援のボランティアも募集しています。法律や訴訟を勉強している方も歓迎です。

 また、当日の裁判直後には、千葉地裁のすぐそばの千葉弁護士会館にて、代理人弁護士やブラックバイトユニオン、被害学生らが発言します。
 さらに、裁判に参加できなかった方のために、夜には都内にて18時半から、代理人弁護士、ユニオン、原告学生らによる報告集会を開催し、本訴訟の経緯と意義について講演します。こちらもぜひご参加下さい。

※この提訴の法的論点や意義については、下のブログをご覧ください。
 「D」元店長らの殺人未遂罪・暴行罪・恐喝罪・脅迫罪で告訴状を提出し、「D」運営会社を提訴しました

【第一回期日】
日時:9月14日(水)午前10時30分~(混雑を避けるために、開廷10分前頃にはお集まりください)
場所:千葉地方裁判所601号法廷
(JR「千葉駅」徒歩15分 京成「千葉中央駅」徒歩8分)
裁判所の地図はこちらをご参照ください。
内容:原告学生の意見陳述
※午前11時頃から、裁判所から徒歩1分の千葉弁護士会館にて裁判報告を行います。

【報告集会】
日時:9月14日(水)午後6時30分~(開場:6時15分)
NATULUCK飯田橋東口 駅前店 2階中会議室(JR「飯田橋駅」東口徒歩2分、地下鉄「飯田橋駅」A1出口徒歩1分)
会場の地図はこちらをご参照ください。
発言者:代理人弁護士、原告学生、ブラックバイトユニオン
参加費:無料 予約不要

■ブラックバイトユニオンのボランティアを募集しています!

 ブラックバイトユニオンでは、職場での労働条件の改善のため、ともにブラックバイトの改善に取り組んでくれる学生ボランティアを募集します。ボランティアとして、団体交渉や労働基準監督署への申告のサポートをすることができます。詳しくは、こちらをご参照ください。

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MAIL:info@blackarbeit-union.com

Tag:活動報告 

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私たちブラックバイトユニオンは、近年様々な背景のもとで広がりつつある「ブラックバイト」によって学生生活が脅かされることのない社会を目指して活動する団体です。電話とメールで相談を受け付けているので、学生の方は是非お気軽にご相談ください。
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